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思い立ったが吉日

好きなものを好きというために

好きだったものはきっとどこかでまだ好きなのだと『キミイロオモイ』を読んで思う

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『キミイロオモイ』 大塚愛 著 幻冬舎

20170108読了(再読)

キミイロオモイ

キミイロオモイ

 

 

本棚を整理するために、定期的に自分の手持ちの本を読み直すというのをやっていて。本当は昨年のうちに終わらせるはずだったのですが、途中で新しい本も読みたくなってしまったりするのでなかなか思い通りに進まず。しかし今年中には。

本日読み終わった本も、その中の一冊。10年以上も前に買った本なので、その間に何度かあった本棚の読み直しの度に読んで、手元に残している。今回もまた、しばらく手元に残すことにしました。

ハードカバーの新書サイズだけれど、本というよりはポエム入りの写真集と言った方が正しいと思う。写真は表紙で何となくわかるかも知れないが、蜷川実花さんによるもの。なのでとっても、色遣いが鮮やか。空と海の青さが、紙の上なのにまぶしく感じる。その写真を並べて、ストーリー性のポエムを書いているのがもちろん、この写真集の被写体である大塚愛さん。この本は、確か大塚愛さんの大ブレイク中に出された本だったと思う。

 

その昔、私は大塚愛という歌手が好きでした。

彼女をきっかけは夜中22時くらいに地方局で流れていた「a-channel」というエイベックスの情報番組でした。その番組を、当時中学生で浜崎あゆみさんが大好きだった私は毎週楽しみに観ていたのです。思えば当時の私は浜崎あゆみにdream、BoA安藤裕子などなど、エイベックスとその傘下の会社の歌手やグループの曲ばっかり聴いていたような。(ちなみにEXILEのデビューの頃もその番組で取り上げていたので知っていました。まさかあそこまで人数が増えることになると、あの頃誰が想像しただろう……)

で、ある日その番組を流れていたら、ニューシングルの紹介のコーナーが始まって。そこで流れていたのが、大塚愛さんの「桃ノ花ビラ」。彼女のデビューシングルでした。

 

www.youtube.com

今見るとそうでもなかったけれど、当時の私には可愛く思えたんですよね。曲も本人も。で、何かいいなあアルバム出るまでチェックしてみようかなと。当時学生でお金が無かったので、シングルCDまで買う余裕は無くそうほんのり思っていたんです。その次に出た曲があの大ヒットした「さくらんぼ」で、大塚愛という名前が一気に知れ渡ることになるのですが。あの頃のひねくれものの私だったらその途端離れてしまうかと思っていたのですが、彼女についてはしばらく好きでいたような。何だかんだ曲が可愛いのが好きだったのと、あとはもしかしたら意地だったのかも。私の周りの友人も、「さくらんぼ」を聴いて好きになった人が多く。でも私は、彼女がデビューした時から彼女のことを知っているんだぞ、目を付けていたんだぞって。若かったなあ。

それで結局、3枚目のアルバムまで購入して、初ホールライブにも行ったんだっけな。そこからだんだん離れていってしまったわけだけれど。やっぱり有名になりすぎてしまって心が冷めてしまった、という私の幼さ故の理由もあるけれど。他に好きなものができてしまったのと、その頃の曲があまり好きではなかったというのが大きいかも。正確には2枚目のアルバムに収録されていて、何故かシングルカットもされた「黒毛和牛上塩タン焼680円」からかな。男女関係を食に例えているのですが、今回読んだ本もそうだしそれ以降の曲でもそうだと気付いたのですが、この人は結構、男女の関係について明け透けに言葉を紡いでしまうんだなあと。それが当時の自分にとってはすごく不快で。今思えばその不快感は、あまり品のある言葉でそれを表現している印象が無かったからかなと今は思います。逆を言えば素直に自分の気持ちを表現できている、というべきかも知れないけれど、私の好きな表現のタイプでは無かったのかなと。だから、結局好きなもののカテゴリーから外してしまったんだろうな。

 

話が長くなりましたが。あれから10年以上の年月を経まして、私の手元にはもう彼女のCDは残っていません。なのに、この写真集のような本は残っている。その理由はやっぱり写真の鮮やかさもあるかも知れないけれど、彼女の紡ぐ言葉が好きだから、というのもあるのかなと今回改めて考えたり。それは先に話した、彼女の表現についての言葉の選び方が好みではないから彼女を好きじゃなくなったという那覇市と矛盾しているように思いますが、彼女のことが気になったのも、好きになったのもまた、彼女の歌詞における言葉の選び方だったことを思い出しまして。

彼女の作品の肝はおそらく「愛」とか「好きという気持ち」で、でもそう一言でいっても様々な形がある。その中には私が苦手と言ったいわゆる男女の性愛もあるのだけれど、同じ男女の愛でもただ相手を深く想う気持ちだって、恋をした時の甘酸っぱい気持ちだってある。そういう気持ちを表す時も、彼女は素直にストレートに表現しているんだけれど、それがぐっときたり共感できたり。

 

例えば 新しい靴を買えば

あなたと会うときに最初にはくわ

靴ずれして 結局

痛いのはわかってるんだけど

 

だけど?      -p84

 

ということに、この本のこの文章がいいなと思って思い出した。彼女の曲を聴いて「可愛い」と思ったのは、それが恋をする、誰かのことが好きな女の子の気持ちを素直に表現したからだったのだろうなって今ならそう思えます。一度好きになったものは、結局どこかでまだ好きなのかも知れない。

 

それから大塚愛さんのことは活動を続けていらっしゃるということくらいしかわからないし、多分もう新しい曲を聴いたりライブに行ったりはしないと思う。でも、何故かこの本だけはまだしばらくは手元に置いて置きそうな気がした。